~老朽化したシステムからの脱却「Biz∫会計・販売」でビジネスを加速~

日産トレーデイング株式会社(以下:NITCO)は、1978年に日産自動車の全額出資子会社として誕生した自動車関連の専門商社で、日産自動車およびグループ会社に対し、自動車関連の部品、マテリアル(原材料・資材)、製造機械設備、及び完成車両を主とした4つの事業を展開しています。 また、NITCOは、日産グループにおいて質の高いサプライ・チェーン・ソリューションを提供する重要な役割を果たしており、12ヶ国の海外拠点を持つ同社のグローバルネットワークを活かし、世界中から”安くて質の良いもの”を調達する、トレーディング機能並びにロジスティクス機能を提供しています。

NITCOでは、1990年代から利用していたシステムは老朽化が進んでおり、継続稼働に不安を抱えていました。 そこで、新業務システムとして採用したのが「Biz∫会計」「Biz∫販売」です。 新システムは、2014年4月より稼働を開始し、安定稼働を実現させています。 導入に至るまでの背景と実際の声を、経営管理本部 経理・法務グループ 岸田様、松本様に伺いました。

※所属部署名はインタビュー時(2014年9月)の名称となります。

導入前の課題と効果

導入前の課題

  • 業務システムが老朽化し継続稼働に不安がある
  • 商社の業務特性に合った機能がほしい
  • 一部の業務ではエクセルなどで入力や集計されておりシステム化されていない
  • グループ会社とのデータ連携が不十分

導入効果

  • 老朽化したシステムからの脱却、安定稼働の実現
  • 商社テンプレートを用いて最低限のアドオンに抑えメンテナンス性を向上
  • システム化による業務効率の向上
  • グループ会社含めた財務マネジメントの向上

導入背景

新システム導入を検討されるに至った経緯をお聞かせください。

岸田様

それまで使っていた業務システムの老朽化が進んだことです。 旧システムは1990年代に三井情報株式会社(以下:MKI)に依頼し構築したシステムを、以降約20年以上にわたり使い続けてきました。とは言うものの、メンテナンスをしっかり行っていたので安定稼働しており、自社の要件に合わせて開発したため業務プロセスにはフィットしていましたが、さすがに扱えるSEが少なくなってきており、限界を感じていました。

また、扱う商材が多岐にわたり、各事業部門でビジネス形態が異なるという商社ならではの業務特性から、事業部門毎に営業系システムを個別に導入し改修を繰り返してきた経緯があり、全社での最適化という点でも課題を抱えていました。 さらに、将来を見据え、社内のデータ一元化を視野に入れて受発注から決算処理まで業務プロセスを統一すること、さらには業務のアウトソーシングを進めコスト競争力を高めるために、ビジネスの変化に迅速かつ柔軟に対応できるシステムを求めていました。

どのような方法でBiz∫の採用が決定されたのでしょうか。

松本様

2010年9月にシステム再構築検討のタスクフォースが結成され、数社から提案をいただきました。 その中で、MKIから、商社業務のノウハウとシステム統合基盤である「intra-mart」と「Biz∫」を活用したソリューションの提案があり、検討の結果、システム構築をお願いすることにしました。

MKIをシステムインテグレーターとして選定された理由は?

松本様

既存システムの構築をお願いしたことから、品質の高さと自社の仕様を把握していることに安心感がありました。また、商社業務について豊富な知見や経験を持っていることもあり、業務改善も含めてリードしてもらえると期待していました。

Biz∫採用の決め手を教えてください。

松本様

「Biz∫」を選んだ理由は、多言語対応やWebアクセスなど最新のIT技術を取り入れている点、また、3,300社以上の導入社数を誇るシステム基盤「intra-mart」の組み合わせにより、現状業務を大きく変更することなく、ビジネスの変化に対応する拡張性の高い基幹システム導入が可能である点でした。 また、MKIから提案された商社・卸売業に特化した機能をオプション搭載することで、商社固有の要件に合わせたシステムが構築でき、他の業務システムとの連携も容易であることも魅力と感じました。 弊社では、将来的にシェアードサービスの導入も視野に入れていますので、「Biz∫」はこうした点にも対応できることが、選定のポイントとなりました。

導入プロジェクトの概要

新しいシステムの概要を教えてください。

松本様

新システムでは会計業務及び経費精算、ならびに、各部門の売上や仕入のデータを一元化し、全社の損益管理を行っています。

プロジェクトの体制と概要について教えてください。

松本様

体制は、プロジェクトマネージャーの私、事業部からの代表者各1名と情報システム部門および経理財務部門から構成されたコアメンバーで進めました。 プロジェクト期間は、2012年の秋にキックオフし、2014年4月本稼働という約1年半となりました。元々の計画では2013年秋に本稼働の予定でしたので、計画時より約半年後にずらしました。

当初計画時より稼働時期をずらした経緯を教えてください。

松本様

「業務をパッケージの標準機能に合わせる」という方針の元、「Biz∫」の標準機能で対応することで要件定義フェーズを終えていました。 しかし、開発段階に入り、一部の機能についてだけはアドオン開発を実施するという決断に至りました。 例えば、債権債務管理です。弊社では営業部門の関与度が高く、標準機能で対応するパッケージがありませんでした。そのため、外付けのツールを自社開発し、且つ運用でカバーする予定で当初より進めていましたが、検証の結果、やはり現場の要望に応えることが難しいということが判明しました。

岸田様

20年以上も使い続けてきたシステムだけに、がらりと変わることに対して社内では戸惑いや心配の声もありました。当然ながらユーザーインターフェースや使い勝手も全く異なります。 そこで、ユーザー部門の要望を反映し、初期の要件定義では入れなかった最小限のアドオン開発を行うこととしました。

導入にあたってご苦労も多かったのではと推察します。

松本様

業務設計や業務フローの書き換えなど、開発と検証を繰り返し行いました。業務のやり方についてユーザー部門と何度もすり合わせし、調整するのは大変でしたが、ユーザー部門も協力的でしたし、コアメンバー含めて全社一体となった推進体制ができていましたので、苦労があってもなんとか乗りきることができました。

現在の稼働状況と導入効果については如何ですか?

松本様

2014年4月に本稼働を開始しました。最初の1、2カ月は、ゴールデンウィーク等で稼動日数が少ないことに加え、データ移行などのシステム立ち上げ作業があったことにより、2日遅れで月次決算の締めを行いましたが、その後は期日通りに業務を完了しています。利用部門からの問い合わせにも備えていましたが、想定よりも照会件数は少なく、その後も月を追うごとに減っています。

岸田様

当初の目的であるシステム老朽化対応を無事完了し、大きなトラブルや現場の混乱もなく、順調に稼働しています。また、現場部門にてエクセルなどで行っていた作業の一部がシステム化され、効率化が図れています。

長年使い続けてきたシステムが変わると、ユーザー部門での混乱も起きそうではありますが。

松本様

本稼働前に検証やユーザートライアルを入念に行うことで、トラブルを回避しました。 結果的にアドオン開発を実施したことで、実際の業務とのギャップを最小限に抑えたことも功を奏したと考えております。十分な試用期間を設けることでユーザー側の受け入れ体制が整い、特に大きなトラブルもなく本稼動が実現しました。

今後の計画

今後の計画をお聞かせください。

松本様

本稼働後に見えてきた課題もありますので、継続的に改善活動を進めていきます。今年度の開発として、予定していたアドオン機能の搭載を進めています。

岸田様

当面は、来年3月に迎える今年度の決算対応です。本番環境での処理は初めてとなりますので、しっかりと対応を行っていきます。また、グループ会社向けに、会計及び経費精算業務システムを適用すべく導入プロジェクトに着手しています。NITCOとグループ会社が共通のプラットフォームを利用することで、財務会計マネジメントの向上が期待されています。

ERPをご検討中の企業に向けて、アドバイスがありましたらお願いいたします。

松本様

まずは、「システムに極力業務を合わせること」だと思います。 業務設計においては、どの辺がギャップになりそうか早めに見極めることも重要です。そのためには、立上げ後の具体的イメージを持つことだと思います。面倒かもしれませんが、情報をできるだけ収集し、現場部門と徹底的に要件をすり合わせしたほうが、後工程の手戻りを減らせます。 検証については、実際の本番に近い環境でユーザーに触ってもらう期間を長めに取ることをおすすめします。

最後に抱負をお願いいたします。

岸田様

リプレースで留まることなく、将来的には業務効率化やコスト削減につなげていきたいですね。現状、エクセルやアクセスで管理しているデータをシステムに取り込むなど、”経営データの見える化”に向けた取り組みを進めていきたいと考えております。

松本様

新しいシステムに蓄積されたデータをビジネスに利用していくために、「Biz∫」のレポート機能なども活用していきたいです。そのためにはユーザー側でのデータ取扱いスキルの向上も図る必要があります。研修などを行うとともに、さらに使い勝手の良いシステムを目指していきます。

どうもありがとうございました

導入パートナーからの一言

NITCO様のご要望に応えるべく、MKIの総力を挙げて開発に取り組みました。
弊社は、商社・卸売業での豊富なシステム構築実績を持っており、「Biz∫」シリーズに搭載するオプション機能である「Biz∫商社テンプレート」を自社開発しております。

「Biz∫商社テンプレート」は、Biz∫シリーズの業務アプリケーションとシームレスな連携を実現し、販売、在庫、購買の業務領域だけでなく、会計業務など幅広くIT業務基盤をサポートしており、本プロジェクトではそのノウハウを活かすことができました。
今後は、「Biz∫」に蓄積した情報をうまくビジネスにご利用していただき、末永く使い続けていただけるよう、MKI一丸となってサポートさせていただければと考えております。

会社概要

会社名 日産トレーデイング株式会社
所在地 〒244-0805 神奈川県横浜市戸塚区川上町91-1 BELISTAタワー東戸塚
設立 1978年(昭和53年)4月10日
資本金 3億2千万円(授権資本 8億円)
従業員数 2014年3月31日現在 261名
事業内容 各種自動車部品や機械・鋼板などの輸出入・販売
※本事例に記載の情報は、2014年9月時点のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。