~スクープ!短期導入、業務スピードアップを実現 老舗出版社が決断した新しい選択とは?!~

株式会社徳間書店は、総合出版社として幅広い読者層に向けた雑誌や書籍を数多く世の中に送り出しています。通称”アサ芸”で人気の週刊誌『週刊アサヒ芸能』、アニメ雑誌のパイオニア的存在である『月刊アニメージュ』、スタジオジブリの関連書籍などエンタテイメント系を中心に幅広く作品を揃え、最近では『美木良介のロングブレスダイエット』シリーズがヒットし、テレビや新聞などでも大きく取り上げられました。2014年に創業60年を迎え、多様なニーズに応えるコンテンツづくりに精力的に取り組んでいます。 このたび同社は、「Biz∫会計」を導入し、2014年10月より運用をスタートしました。 導入に至るまでの経緯、稼働状況や今後の計画について、取締役 萩生田経営企画室室長に伺いました。

※所属部署名はインタビュー時(2015年2月)の名称となります。

導入前の課題と効果

導入前の課題

  • 月次決算を早く確定させたい
  • サーバOSのサポート切れ、最新のIEバージョン等に非対応
  • 自社でのサーバ運用から脱却したい
  • コストをできるだけ抑えたい

導入効果

  • 現場部門の入力負荷削減や会計管理業務の効率化による決算の早期化
  • 最新の稼働環境整備
  • クラウド環境での運用による安全なデータ管理及び災害時の事業継続性(BCP)対応
  • 従来システム継続運用に比べ、導入コスト及び維持コストが削減

導入背景

会計システムのリニューアルに至った背景をお聞かせください。

萩生田様

弊社は、パッケージを利用した会計システムを約10年にわたり利用してきました。会計基準の変更には都度対応しており、使い勝手など特段の不満はなかったのですが、この10年間で弊社を取り巻く事業環境が変わり、会計システムに求められる社内のニーズも変化してきました。厳しい事業環境の中で競争に勝ち残っていくためには、従来システムで対応するには非効率だと感じていました。

そこで、システムのサーバOSの入れ替えを迎えたタイミングで、新しい会計システム導入の検討を始めました。

会計システムに求める社内ニーズが変化した、とは具体的にどういうことでしょうか。

萩生田様

会計システムと周辺システムとの連携をスピードアップしてほしい、他の周辺システムから会計システムにデータを取り込みたい、データのより細かい内容が見たい、などといった社内の要望が高まってきたのです。 全社的にさらなる採算管理の徹底が問われており、会計業務を効率化し、決算の早期化を図るとともに、コスト削減に資する新しい会計システムが求められていたということです。

出版社には業界特有のさまざまな基幹系業務があり、周辺システムと会計システムとの連携は、課題の実現において非常に重要ですね。

萩生田様

書籍の販売管理、雑誌の広告収入管理、製作原価管理、宣伝管理、印税支払いなど多岐にわたり、仕訳の件数が多く煩雑という特徴があります。 一例を挙げると、弊社では、著者に支払う印税の伝票処理が毎月1000件くらい発生し、月2回に分けて支払いをしています。取り扱う商品数も、書籍の在庫が3000~4000点、それに雑誌などが加わります。また、社員の数以上のフリーライターや外部編集者に対する経費処理も発生します。 従来システム導入時に、それまで手作業であった仕訳を一部自動化しましたが、依然として手作業は残っており、これらの周辺業務のシステムのデータをよりスピーディーに会計システムに集約し、決算業務を効率化することが目下の課題でした。

選定の理由

システム再構築を株式会社JSOL(以下:JSOL)に依頼された理由をお聞かせください。

萩生田様

従来の会計システム構築をJSOLに依頼していたこと、また、販売管理システムやその他基幹システムなどをサポートしていただき10年来のお取引があり、弊社の業務に精通しているため安心して任せられると考えました。

システム再構築において、重視した点をお聞かせください。

萩生田様

主に3つのポイントを重視しました。
1つ目は、「従来システムからの移行が短期間にスムーズに行える」
2つ目に、「周辺システムとの連携が、簡単に安価にできる」
3つ目は、「サーバを自社から外部に移せる」ことです。
サーバの外部運用化を決断した背景には、コストの削減は勿論のこと、東日本大震災以降、災害時の事業継続性(BCP)対策への機運が社内で高まっていたこともあります。

サーバの外部運用に関して、今回アマゾン社のクラウドサービス「Amazon Web Service」(AWS)を採用されました。

萩生田様

当初はデータセンターへのサーバ移管を想定していたのですが、JSOLから「Biz∫会計」のクラウド環境導入サービスをご提案いただき、コスト面やBCP面でのメリットの大きさを感じ、最終的に本サービスの利用を決断しました。

クラウド上にデータを預けることへの不安は無かったですか?

萩生田様

社内から、セキュリティ面などに対する漠然とした不安の声が上がりましたが、JSOLからAWSの仕組みや安全性、移行のプロセスなどをきちんとご説明いただき、理解した上で社内を説得し、合意を得ることができました。 稼働後もクラウド環境を意識することなく業務が遂行できています。

「Biz∫会計」採用の理由をお聞かせください。

萩生田様

JSOLから、従来の会計システム拡張と「Biz∫」の2つの製品をご提案いただきました。機能面やコスト面などで比較検討した結果、「Biz∫会計」を採用しました。 「Biz∫」に決めた大きな理由は、クラウド環境での利用に適していること、また、従来システムからの移行が短期間にスムーズに行えることです。通常業務への支障を極力抑え、現場部門の協力を得やすくするためにも、できるだけ短期間での切り替えを希望していました。 実際のデータ移行作業は2段階で行い、債権・債務の移行に1週間、次の移行は休日を利用して実施し、1日で完了することができました。担当者からは「従来システムへの移行作業に比べてスムーズに行えた」という声が上がっています。

システムの概要と導入プロジェクトについて

新システムの概要について教えてください。

萩生田様

Biz∫会計」を利用して、一般会計、債権債務管理、経費精算業務を行っております。

【 図:全体システム構成図 】

導入にあたってご苦労された点があればお聞かせください。

萩生田様

苦労した点は、新しいシステムの全体像をきちんと理解してもらうことです。 ユーザ側が操作方法やワークフローだけに気をとられてしまい、仕組みやコンセプトを理解しないまま導入することは避けたいと考え、「他にどういう業務に新システムが使えるか」といった質問をユーザに投げかけ、意見やアイディアを出してもらう作業を行いました。

長年利用してきた従来システムから変わることへのユーザの抵抗感もあったのでは?

萩生田様

当然ながら、長年使ってきたシステムが変わることに対しての不安や新しいことを覚えることへのハードルはありました。そこで、ここは「取り纏め役の腕の見せどころだ」と、メンバーに楽しんで取り組んでもらおうと考えました。そのためには、プロジェクトリーダ自らが楽しんでいる姿勢を見せることが重要です。プロジェクトリーダが「もうダメだ」という顔をしていたら、うまく進むはずはないですからね(笑) 日常のコミュニケーションを密に取り、「こうやったらもっと良くなるのではないか?」といった投げかけを行い、アイディアや前向きな議論が活発になるような雰囲気作りを心がけました。結果、成功裏に終わることができたと評価しています。

JSOLのサポートについては如何でしたか。

萩生田様

わからないところは何度も質問しましたが、そのたびに迅速で的確な回答をいただき、理解が深まりました。 プロジェクトの期間中も万全なサポートをしていただき、移行作業もスムーズに運び、当初のスケジュール通り稼働スタートすることができました。

導入されて約半年が経過しましたが、稼働状況について教えてください。

萩生田様

安定稼働しており、トラブルなく業務を遂行できています。 「Biz∫」の使い勝手や操作性の良さも改めて実感しました。 ブラウザ上で稼働するため、PCに専用ソフトをインストールする必要もなく便利です。 また、画面構成やボタンの位置、画面デザインなど操作しやすい工夫がされており、「入力がしやすく、伝票処理にかかる作業スピードが上がった」と現場でも好評です。 レスポンスも速く、大変満足しています。 支払い条件や回収条件の設定などマスター設定が充実している点も、日本の商習慣を考慮した国産パッケージならではのきめ細かい配慮や品質の高さを感じました。

周辺システムとの連携についてはいかがでしょうか。

萩生田様

売り上げや経費などのデータの取り込みから会計仕訳、登録までの一連の作業が便利になり業務のスピードも上がりました。 特に弊社では伝票の件数が多く煩雑なため、周辺システムからのデータ仕訳作業を、いかに効率を上げられるかが課題です。「Biz∫会計」は、複数のデータ形式の取り込みやデータ変換に柔軟に対応するため、弊社のやり方に合わせて作業できます。

コスト削減効果についてはどのように評価されていますか。

萩生田様

従来システムのバージョンアップコストに比べて、新システム導入コストが安価なことは、試算結果から明らかです。クラウド基盤を利用することで、ハードウェア、データセンターの調達が不要となり、運用コストを抑えられます。実際にシステム運用にかかる社内の業務負荷も削減できています。 定量的な削減効果については、これから迎える今期決算業務対応も含め、今後検証していきたいと考えています。

今後の課題について教えてください。

萩生田様

当面は、管理会計に注力した取り組みを進めます。 具体的には、損益管理の強化を目的として、営業部門や編集部門などの現場マネージャーに対し、より精度の高い収支レポートを提出し、現状把握や分析などに活用してもらうべく検討を進めています。今年の4月から運用開始の予定です。 将来構想は、販売管理システムの再構築、さらには周辺システムの整備及び会計連携の実現です。JSOLには、これからも業務効率化のアイディアやアドバイスを期待しています。

最後に、基幹システム導入をご検討中のお客様に向けてアドバイスをお願いいたします。

萩生田様

ユーザ側の業務分析を、早い段階からしっかりと行うことが重要だと考えます。 日常業務の洗い出し、優先順位づけ、業務のルールをどのように変えるのかといった方針を早めに固めることが、短期導入において特に重要なポイントではないでしょうか。

導入パートナーからの一言

本プロジェクトは、要件定義に3か月間、設計・開発・テストに3か月間というタイトなスケジュールでしたが、萩生田取締役様がうまく取り纏めてくださり、特に大きなトラブルもなく当初の予定通り稼働を迎えることができました。
徳間書店様の課題をどうやって解決するか、経理部門の皆様と一緒に考える機会をいただいたことが今回の短期導入成功につながったと思います。徳間書店様からの業務系の質問に対しては、常にユーザ視点に立ってお答えするように心がけました。
今後は「Biz∫会計」のデータを活用することで、迅速かつ適正な経営判断に活かしていただけるよう、課題の実現に向けて引き続き支援させていただきたいと考えております。

会社概要

会社名 株式会社徳間書店
代表者 代表取締役社長 平野 健一
設立 1954年3月
資本金 100,000,000円
従業員数 117名(2014年4月1日現在)
事業内容 出版事業
※本事例に記載の情報は、2015年2月時点のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。