Quick-Integral編 「早く」「安く」「簡単に」 活用してわかるBiz∫導入方法論(1)
Biz∫を裏側から支えるエンジニアたちに、開発構想からリリースするまでの道のり、開発にかける想いetc…を、率直に語ってもらいます。今だから話せる開発エピソードや秘話が明かされるかも知れません?!
今回は、Biz∫の導入メソッド「Quick-integral」について、 Biz∫会計のQuick-integral構築を手がけた開発本部 淵崎部長と、 Biz∫販売のQuick-integral構築を手がけた山口シニアコンサルタントに、誕生に至るまでの経緯、今後の展開について聞きました。
エンジニアプロフィール
淵崎 大蔵
株式会社NTTデータ・ビズインテグラル
開発本部 部長
■経歴
NTTDATA入社後、流通業・製造業様向けの基幹系システムの開発や大規模BPM事業に従事。
2011年からBiz∫の導入や開発に関わり、現在に至る。
■趣 味
子育て/スノーボード/ゴルフ/ダイビング/旅行
エンジニアプロフィール
山口 薫
株式会社NTTデータ Biz∫事業統括部
Biz∫ソリューション担当 シニアコンサルタント
■経歴
メーカー系SIベンダーを経てNTTDATAに入社後、主に製造業・流通業・ITサービス業向け基幹システム構築プロジェクトに参画。
2011年からBizインテグラルのプロジェクトマネージャーとして、導入プロジェクト/技術支援/導入方法論(メソッド)の開発に従事。
■趣 味
散歩/テニス
Quick-integralとは?またBiz∫における位置づけは?
淵崎:Quick-integralとは、Biz∫を効率的に導入するための導入方法論です。具体的には、標準的な導入ツールや移行ツール、成果物のサンプルなど、導入に必要なノウハウやひな形類を整理し体系化したものです。 Biz∫会計、Biz∫販売を導入する際、これまでの実プロジェクトを通じて蓄積された導入・移行ノウハウを纏めたQuick-integralを活用いただくことで、Biz∫の導入を効率良く、短納期かつ低コストで実現するというものです。
お客様にとって、短納期・低コストで導入できることは非常に魅力的ですね。Quick-integral誕生の経緯を教えてください。
淵崎:Biz∫製品は、パートナー企業を通じてお客様に販売・導入しております。
当時、私はあるお客様のBiz∫導入プロジェクトにプロジェクトマネージャーとして参画しておりました。そこで聞こえてきたのが、プロジェクトメンバーやパートナー企業からの次のような要望の声でした。
「Biz∫をどうやって導入すれば良いのかわからない」、「お客様に何を準備して頂けば良いのかわからない」etc…。勿論、Biz∫リリース直後で導入経験が少なくノウハウが無かったことも一因でしたが、この声に早急に対応しなければと感じていました。
特に会計は、業務範囲がある程度決まっておりますので、プロジェクトの進め方や導入ツールなどを体系化すれば、今後の導入案件においてもきっと役立つはずだと確信していました。
山口:Biz∫のリリース後、製品の強化を目的とした機能面の充足を順次進めてきましたが、今後の課題としてサービス面の強化が挙げられていました。特に、これまでBiz∫を扱ったことのないパートナー企業にとっては、開発導入のノウハウが無いため、豊富な機能を揃えているBiz∫をいかに効率的に導入するかの方法やノウハウを体型化したものが求められていました。
また、最近の傾向として、短期間かつ低コストで導入したいとお望みのお客様も増えてきました。
このような「効率的に」「早く」「安く」のニーズに対応すべくQuick-integralプロジェクトがスタートしたのです。
現在Quick-integralは、Biz∫会計とBiz∫販売で活用されています。まずはQuick-integral Biz∫会計編プロジェクトの概要について教えてください。
淵崎:Biz∫会計は初代バージョン1.0が2010年10月に完成しましたが、当初はノウハウが無く提案に苦労しておりました。約1年後の2011年秋頃からお客様への導入プロジェクトと並行して、Quick-integral Biz∫会計編プロジェクトがスタートしました。
最初に会計編に着手した理由は、いくつかの実績が出てきており、サンプルが集めやすかったこと、また会計業務の特性上、企業毎に要件が大きく異なるといったことも無く、標準化しやすいということからでした。
プロジェクトの推進にあたっては、お客様へのご提案や導入過程で得たノウハウや、プロジェクトメンバーやパートナー企業の声を取り入れながら整理し、2012年秋にサンプル成果物をリリースすることができました。
淵崎さんは、Quick-integral Biz∫会計編の責任者としてリリースまで担当されましたね。
淵崎:先ほどお話ししたとおり、Biz∫導入プロジェクトを通じてお客様やパートナー企業の抱える課題にまさに直面していました。その経験やノウハウを最大限活かすことができました。
苦労した点は?
淵崎:お客様への導入プロジェクトと並行して、Quick-integralを整備を進めたことです。できるだけ実体験に基づく生きたノウハウを組み込むことが非常に重要であり苦労もしました。成果物は全てのパートナー企業に公開され、お客様のご説明資料のベースとなる大変重要なもので、パートナー企業からも、一刻も早いリリースを期待されておりました。
そこで、プロジェクトメンバーの頑張りや成果が、自社だけではなくパートナー企業全体に展開されること、それがBiz∫事業拡大への貢献につながること、そして自分たちこそがQuick-integralのパイオニアなんだという点を強調しました。メンバーには、成果物が流用できるよう標準化を意識して、お客様への導入プロジェクトと並行して作成してもらったので非常に大変だったと思いますが、期待に応えてくれて、無事完成させることができました。
Quick-integral販売プロジェクトについてはいかがですか?
山口:Quick-integral会計編に続く第二弾として、Quick-integral販売編のプロジェクトがスタートしました。 私はこれまで販売・物流を中心としたシステム構築プロジェクトに携わっており、2011年にBiz∫の担当となり、提案支援や導入サポートを担当してきました。 2012年度にBiz∫販売の強化策の1つとして、Quick-integral販売編を纏めることとなり、プロジェクトマネージャーに任命されました。
販売業務は、会計業務と違って会社の特色が出やすく、独自要件に合わせてアドオン開発やカスタマイズが行われる割合が高いと言われます。体系化するのにご苦労されたのでは?
山口:まず、Biz∫販売の導入実績があるパートナー企業に対しヒアリングをしました。そこで感じたのは、個社固有の要件を実現するために、安易に作り込んでカスタマイズをし過ぎる傾向があるのでは無いかということでした。 アドオン開発やカスタマイズが増えると、予期せぬトラブルの原因となります。一方で、企業固有の業務プロセスを変えたくないというニーズもあるため、うまく纏めるのに苦労しました。
具体的にQuick-integralにはどのように反映させたのでしょうか。
山口:個社固有の要件について、代替案やBiz∫の標準機能を徹底的に活用して対応する方向で盛り込みました。
お客様の強みにつながる業務についてはカスタマイズをお勧めしても良いと思いますが、例えば、年に数件しかない取引に対してカスタマイズが本当に必要かどうかは、お客様の判断によります。正しい判断をするためには、現場部門の方々だけでなく、経営層にもカスタマイズの必要性の是非をご理解していただき、会社全体としてご検討いただく必要があると考えています。
山口さんは実際のプロジェクトでQuick-integralを活用しているそうですね。
山口:現在、複数のお客様の導入プロジェクトでQuick-integralを活用しています。現在、どれも大きなトラブルもなく予定通り進んでおり、手ごたえを感じています。 あるプロジェクトでは、お客様が現場の方々に対して、トップダウンで導入方針をプレゼンして頂いた結果、要件定義フェーズはノンカスタマイズで進めることで合意しました。ファーストステップでは標準機能での導入を前提とし、要件定義フェーズで発生したギャップに対しては安易にカスタマイズ開発をせずに、標準機能や代替案で進めることになりました。 Quick-integralを活用することで、お客様に導入の流れやスケジュールをきちんと説明でき、ご理解していただいたことがスムーズな進行の一因だと思います。
淵崎:お客様の投資対効果を考えながら、同時に現場の方々にも納得いただけるようなシステムにするための調整は、毎回苦労するところです。製品の改善とサービス面の充実は、我々開発メーカーの責任でもあります。 これからもQuick-integralをブラッシュアップしていくことで、パートナー企業にとってより効率的な開発方法を追求し、お客様に満足いただけるよう努力したいと考えています。
以上、『Biz∫を支えるエンジニアたち Quick-integral編 前編』をお届けしました。
後編では、Quick-integralの特長や実際のプロジェクトでの評価、今後の展開についてをお届けします。