経営管理を高度化するERP 情報の連携と見える化がポイントに
【企業の課題】会計業務にも悪影響 経営管理で顕在化する課題
企業を取り巻く環境がますます激しく変化していく中で、不確実な将来に対応していくためには、経営管理の業務における非効率を解消し、スピードアップを図る必要があります。特に多くのグループ企業を統括している親会社にとっては、経営管理に多くの課題が生じており、財務会計・管理会計を含む会計業務全般にも影響を与えます。
例えば、グループの個社単位での損益は把握できているものの、グループ全体での統一ルールや共通マスタに基づいた業績管理ができておらず、経営者の意思決定に役立つ情報をタイムリーに提供できていないというのもその1つです。これができていなければ会社全体の予算管理にも支障を来しかねません。
また、グループ会社ごとに異なる日次や月次の締めをコントロールしきれておらず、結果として財務報告や連結決算のスケジュールに遅れが生じてしまう可能性もあるでしょう。
背景にあるのは、グループ会社ごとに異なるシステム運用です。各社のシステムが異なること自体は、ある程度は仕方がありませんが、マスタコード体系さえも統一されていないという状態では、債権・債務(債権・入金・債務・支払)情報をスピーディに一般会計に反映させることができません。
言い換えれば経営管理の高度化を支える1つには、財務を含む情報の見える化と自動的な連携が求められます。
【Biz∫の解決策】経営管理高度化に対するシステムからのアプローチ
NTTデータビズインテグラルが提供するERPパッケージ「Biz∫」のうち会計業務への機能を提供する「Biz∫会計」では、経営企画部門が抱えている課題をシステムと業務の両面から解決します。まずはシステム基盤の観点からその特長を見てみましょう。
取引・仕訳データの柔軟な連携
Biz∫会計はモジュール間の柔軟性を確保したシステム基盤を提供しており、一般会計とのリアルタイム連携が可能です。例えば債権・債務(債権・入金・債務・支払)は伝票登録時点で一般会計にリアルタイムに反映されます。
さらに、その他の周辺システムとも柔軟に連携し、会計連携を活用した取引・仕訳データの自動連携が可能です。ファイル連携を行う場合の項目のマッピング情報を管理し、項目順の読み替えやコード変換もマスタ設定のみで標準対応します。
連結対象のグループ企業が増えれば増えるほど、周辺システムの更改頻度も増えていくことになり、従来はそのたびに新たなインターフェースを構築する費用が発生していました。これに対してBiz∫会計は、この会計連携によってマスタ設定だけで乗り切ることができるのです。
これだけでは対応しきれない接続形式やファイル連携フォーマットをもつ周辺システムについては、EAI/ETLツールであるBiz∫ASTERIAを利用して連携することができます。
「経営の見える化」を支えるデータのアウトプット
企業にとっては、データを蓄積するだけではなくそれを可視化できることが求められています。可視化のためになんらかのデータ集計の作業や特別のBIツールを入れていては、工数や投資が増えてしまいます。それに対してBiz∫会計はデータベース構造をオープン化するとともに、「ViewCreator」や「フレキシブルレポート」といった機能を提供することで、アウトプット機能の柔軟性と拡張性を確保しています。
ViewCreator はMicrosoft Accessのクエリーのようなイメージで操作できる簡易的なBIツールで、エンティティ名やカラム名もあらかじめ日本語化されており、要件に応じてシステム部門の担当者が簡易レポートを作成したりアレンジしたりすることが可能です。
例えば自身がその日に処理しなければならない伝票、登録されたマスタ、データ取込の件数やエラー発生状況など、業務モニタリング的に利用するほか、ViewCreatorで作成したリストやグラフ情報をシステムログイン後のポータル画面に表示して、PUSH型で情報通知することができます。
一方のフレキシブルレポートは請求書や伝票など、標準帳票で個別の要件が発生しやすい帳票レイアウトをWeb上で簡易にカスタマイズできるツールで、既存帳票のレイアウト変更や新規帳票の作成を効率化します。
グループの集中管理に適したマルチテナント対応
さらにBiz∫会計はグループ共通システムとして集中運用に適したシステム基盤を提供することで、マルチテナントによるグループ会社のシステム・データの集中運用、会社新設、統廃合へ迅速かつ効率的に対応します。経理機能を共通システム基盤に集約・統合することにより、人的リソースおよびシステムリソースの適正化を図り、グループ全体の業務効率化を実現します。
経営管理の高度化のために業務面で重要な4つのポイント
ここまでシステム面の具体的な機能に触れてきましたが、ここからはより業務面からの解決策としては、大きく4つのポイントを紹介します。
1.統一マスタ配信によるグループ共通マスタの一元管理
複数のグループ会社を抱える企業の場合、グループ全体で科目マスタや取引先マスタを設けて、グループ内で用いられるコードを統一したいと考えるでしょう。しかし実際には、個社ごとにマスタのメンテナンスが行われ、重い作業負荷を強いられ、マスタの不整合や人手での繰り返し作業によるメンテナンスミスなどの弊害が生じることがあります。
これに対してBiz∫会計はマスタのメンテナンスを本社に集中し、各社に一括配信することで作業負荷を軽減し、マスタ不整合や作業ミスを抑制します。例えばBiz∫会計では勘定科目、銀行、消費税コード、カレンダー、通貨、法人などのマスタを標準機能で配信することが可能です。
2.適切なデータのインプット
適切な経営管理や意思決定のためには、適切なデータがシステムに入力されている必要があり、そのためには正しくデータが格納できるような仕組みが求められます。
それに対してBiz∫会計では、「科目が売掛金の場合は計上部門に経理部を設定」など、伝票項目間で親子関係と入力ルールを定義し、入力負荷軽減と入力ルールの標準化を促す仕組みを搭載しています。さらにマスタ配信機能を活用してグループ全体で共通入力ルールを定義し、業務上の不正な伝票の発生を抑制することで、正しい経営分析に不可欠なデータ入力精度を確保することが可能となります。
3.連結会計業務の効率化
ここまで示してきたように、経営管理の高度化のためには正しいデータがシステムに存在していることが求められます。しかし、連結会計に代表されるように各社からの情報が迅速に統合されなければ、グループ全体の迅速な情報把握とそれによる的確な意思決定の妨げとなってしまいます。言い換えれば、ERPには連結会計に伴う業務を効率化する機能が求められると言えます。
Biz∫会計では、グループ連結DBに情報を集約する仕組みを有することで、グループ各社の仕訳、残高、セグメント別残高、月次締め状況を一元管理することが可能です。こうした共通のデータベースはグループ会社間取引の各社の残高差異の確認や別途BIツールによるデータの可視化を行う際にも威力を発揮します。
4.グループ決算締状況の可視化・自動化
そのほかにもBiz∫では、グループ各社の日次および月次単位の入力締めを業務スケジュールに応じて自動化し、スムーズな決算数値の確定をサポートします。例えばグループ各社の月次および年次締状況を会社別、組織別、モジュール別といった切り口で一覧照会。各社の決算スケジュールに応じてリアルタイムにチェックし、未完了の会社に対して催促を行うなどの適切なアクションにつなげることで連結決算の早期化に寄与します。
このようにBiz∫会計を活用することで、企業はグループ会社を統括する本社側の作業負担やコストを削減しつつグループ全体のガバナンスを高め、経営の高度化とスピードアップを実現することができます。