グループ経営での会計業務の効率化をERPで支援
【企業の課題】連結グループを起点とした共通会計の仕組みづくりへ
大規模な企業にとって、グループ会社共通で利用できる会計システムを整備することは重要です。しかし、ビジネス環境が急速に変化する昨今では、それは一部の大手企業だけに求められる取り組みではなくなっています。
事業多角化(M&A)と参入撤退サイクルの加速、粉飾決算や不正経理を発生させない統制、海外子会社の増加に伴うリスク増、国際会計基準(IFRS)任意適用の増加、間接経費の最適化といった課題は規模の大小を問わず、連結グループを形成しているあらゆる企業に共通しているからです。
では、そうした企業はこれまでどうやってグループ会社の会計情報を把握し決算業務を行ってきたのでしょうか。よく見られるのは、「個社単位で業績を積み上げる」、「個社ごとの会計処理を行った後に連結する」、「業務プロセスや運用規定は個社に任せる」、「個社ごとに間接部門を設ける」、「企業規模や業務量に応じて個別最適の会計システムを導入する」といった方法です。
当然のことながら、これでは上記のような課題は解決できません。また、親会社もグループ会社もバックオフィスの現場には慢性的に重い業務負担がのしかかり、共通ルールの策定やガバナンスの強化、業務・リソース配置の適正化を阻害しており、結果としてマネジメントコストも膨らんでいく一方です。
抜本的な課題解決のためには、個社の集合ではなく、「連結グループ」を起点としたグループの全体最適を実現できる共通会計の仕組みの整備が必要となります。つまり、ERPや会計システムなどにもそのような仕組みを効率化するための機能が求められています。
【Biz∫の解決策】グループ経営に適したプラットフォーム
複雑化するグループ会社の会計とその管理という課題に対して、NTTデータビズインテグラルが提供するERPパッケージ「Biz∫」のうち会計業務への機能を提供する「Biz∫会計」では解決に役立つ機能を提供しています。
Biz∫会計は、現場入力から単体会計、連結会計まで一貫して連携させることで、業務のスピードアップを図るとともに、財務・経理部門など現場の負担軽減を実現するグループ経営プラットフォームです。Biz∫会計はシェアードサービス形態での利用を想定しており、同じ環境をグループ全体で共同利用することが可能です。
連結決算など、グループマネジメントを効率化する各種機能
では具体的に、Biz∫ではグループ会社のマネジメントを強化し、連結業務を効率化するためにどのような機能を備えているのか、その主要なものをご紹介します。
グループ連結DB
グループ会社が複数存在し、各社で異なるシステムを導入している場合、連結決算時などの際に会計データを収集・統合する作業が必要になります。その際に効果的なのがデータが一元化された仕組みです。グループ連結DBとは、Biz∫会計で各社が処理している仕訳、残高、セグメント別残高、月次締め状況などのデータを共通DBに集めて一元管理するものです。こうしてグループ全体の情報を可視化することでグループマネジメントを高度化し、連結業務を効率化します。
もちろん各社のBiz∫会計とグループ連結DBを連携する上で手作業は一切必要とせず、自動的に全件または差分のデータ収集が行われます。
グループ連結DBによって、例えば、次のような機能が利用可能です。
- 明細・残高照会:
グループ各社の伝票データはすべてこのDBに集められているため、手間をかけずに明細から残高まで確認することができます。
- 内部取引照会:
グループの規模が大きくなるに従いグループ間の取引も活発になっていきますが、連結決算を行う際に必ずそれらの取引を消去(相殺)しなければなりません。この煩雑な業務の作業負担を軽減するのが内部取引照会機能です。
- 各社の締め確認:
グループ全体で取り決めた月次決算の締めスケジュールが守られているかリアルタイムに確認し、遅れている場合は早急に手を打つことができます。
グループ会社間取引の際の情報連携で連結業務を効率化
グループ会社の連結決算の際には、グループ会社どうしで行った取引を内部取引として連結損益計算書から消去する、いわゆる相殺が必要です。しかし、各社でシステム異なる場合は、この相殺の処理が煩雑になる可能性があります。
そこでBiz∫会計には、グループ会社間取引に付随する業務を効率化する機能を備えています。具体的には、グループ内取引にて連結DBを通じて債権側の伝票データを債務側に連携し、さらに両社の共通管理番号となる照合キーを付与して連携されることで、連結会計でグループ間取引の相殺で残高の不一致が生じた際にトレースを容易化して業務を効率化します。また複数伝票の集約登録、科目・組織などの項目補完、1取引内で異なる科目設定などの個別登録や、登録件数が多い場合の一括登録など、債務側の運用に合わせた効率的な債務起票をサポートしています。
これにより二重計上などのミスを防止しつつ、金額・計上月などの整合性チェック、月次締め時の計上漏れチェックなど、支払業務の精度向上とグループ会社間取引の相殺業務の効率化を実現します。
グループ間取引の照合状況を可視化
さらに、画面上からはグループ間取引の照合状況を可視化し、連結決算前の差異理由の特定をサポートする仕組みも大きなメリットをもたらします。
例えば「債権対債務」といった連結科目の残高状況だけでなく、個社の科目単位で内訳を照会し、グループ会社間の取引金額をさまざまな粒度で比較することにより、連結決算前に解消すべき重要な差異を自社の決算サイクルに応じた適切なタイミングで確認できます。また、グループ連結DBに各社の仕訳明細をすべて集約しているため、照合キーを使って差異がある勘定の仕訳明細を確認することで、差異が発生した理由を特定することが可能となります。
会計業務によるオペレーションを標準化・効率化する仕組みも
大企業がグループ各社横串でデータに基づいた経営分析を行っていくには、会計システムに正しく情報を入力していく必要があります。伝票入力ひとつとっても、勘定科目だけでなく計上組織や消費税コード、分析のための情報を正確に入力しなければなりません。しかし、入力作業には常に煩雑な手間を強いられ、ミスや漏れも発生しがちであり、こうしたリスクは、経営を正しく分析するうえでの阻害要因となります。そのための対策として、正しい入力のためのオペレーションやルールを統一して標準化したとしても、それを徹底していくことは簡単ではありません。
これに対してBiz∫会計では日々の入力オペレーションを標準化・効率化する機能を搭載することで確実なデータ登録を促し、精度の高いグループ横串の経営分析を支援しています。
機能の1つとして、「フィールド関連マスタ」によって入力負荷軽減および入力ルールの標準化を実現するだけではなく、伝票の入力内容にあわせ、「特定の初期値を表示する」、「入力可または不可に制限する」、「必須または任意入力に制限する」、「特定の値のみ入力可能とする」といった表示や制御を行うことができます。
たとえば勘定科目に「売掛金」と入力した場合、消費税コードには「対象外」と自動的に表示され、その他の税コードが誤って入力されるのを防ぎます。
このようにグループ全体で共通入力ルールをあらかじめ定義し、業務上の不正な伝票の発生を抑制することで、入力ミスや漏れを削減するとともに手入力の負荷を軽減しつつ、正しい経営分析に不可欠なデータ入力精度を確保することが可能となります。
グループの規模が大きくなればなるほど入力項目や分析項目も増えていくため、この機能が大きく貢献します。
以上のように、バックオフィス業務の負荷軽減や連結業務の効率化することで、Biz∫会計では、複雑化するグループ会社の会計業務や決算業務の効率化を支援しています。